もっとずっと

第25話

先輩と私は

そのあと、お店に戻ることなく

2人で抜け出しました


ずんずん先に歩く先輩


向かう先は分からなかったけど


まだ、離れたくなくて


後に続きました



その間

会話らしい会話も無く

やっぱり吉野先輩らしいな

って思った


まさか、こんな風に2人になること想像したことも無かったけど



だいぶ歩いて

公園につきました



夜の公園は静かで

人気も少なくて


でも、ベンチに並ぶカップルとかが

ちらほら目に入りました


夜で人気も少ないからだと思うんですけど

抱き合ったり、キスしたり


してるカップルもいました



もう、十分どきどきしてるんですけど

これ以上どきどきさせられたら

心臓がもたないんですけど



先輩と2人ですよ?



どうなっても嫌じゃないんですけどね


でも、心の準備があるじゃないですか


今日、好きだって言われて

で、その先のことまでは、想定外


期待するのもおこがましいじゃないですか


私にとっては憧れの先輩だったんだから



「なんか風が気持ちいいな」


先輩は、いつものように涼しげな顔でそういうと、ベンチに腰掛けました

そして、空に浮かぶ月をじーっと眺めてました



私も、同じように月を見上げました



雲ひとつない空に浮かぶ、今日の月は満月

でした



こうやって、ずっと同じものを一緒に見ていけたらいいのに

ずっと隣で

先輩の隣で


「夏休み始まるな」


「そうですね」


しばらく、先輩とは会えなくなるんだ

また、そんな思いがよぎりました


「お前、実家だっけ?」


「いえ、違いますけど」


「実家に帰るのか?」


「まぁ、何日かは」


「じゃあ夏もいっぱい会おうな」



うわー

夏も会えるんだ

会ってくれるんだ

無表情な先輩の気持ちをうかがい知ることはできないけれど

私は、とりあえず嬉しくて

かなり舞い上がってました


「俺、お前の連絡先知らないんだよな」


「私、先輩のメアド知ってるからメールしますね」


「メール苦手なんだよな」


「えと、じゃあ電話番号交換しますか」


赤外線でお互いの連絡先を交換



メール苦手なんだ・・・

じゃあ、メールあまりできないな・・・

電話番号知っても、多分用件以外話さないで終わりそう・・・

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