第24話

やっと

言えました



お待たせしました

皆さん



私、やっと


好きです


と先輩に言えました




もどかしくて

すみません


イライラさせて

すみません




「糸井と付き合うとか、言いだして焦ったわ」



焦る?



そういえば、



『自信無くすわ』


とかも前に言っていたけど


それって私の態度が、あやふやだったから、もしかして先輩もずっと?



「あの」



「ん?」


「いつから気付いてたんですか?」


「最初から

気づかない男だったら、鈍感だわ」




私の気持ち

ちゃんと届いてたんだ

ずっと

最初から届いてたんだ

先輩に届いてたんだ




見てるだけで良かっただけなのに

眺めてるだけで良かったのに



泣きそう・・・





「あの・・・これからも好きでいていいですか?」



上目遣いで先輩の顔を見ると



そこにはあきれ顔の先輩が


「アホ」


先輩は、私の質問に答える代りに、また私をぎゅっと抱きしめました




これが馴れ初めというものでしょうか





無口で無愛想で無関心な

吉野先輩との



「あの、先輩・・・」


そろそろ、このシチュエーションは、まずいんじゃ・・・

他の皆に見られたら



「その先輩っての、なしな」


「え?」


「俺、ダブってるから、先輩じゃねーし」


「えと、でも年上ですし」


「却下」


「じゃあ、名前で呼んじゃえばいいんですか?」


「うん」


「吉野さん・・・とか」


「なんか、虫唾が走るわ」


「じゃあ、なんて・・・」


「一樹でいいよ」


「む、無理ですよ、そんないきなりっ」


「俺は、呼ぶからな、お前の名前」


「私の名前知ってたんですか?」


「菜月」


名前を呼ばれるだけでも、胸の鼓動が止まりませんでした


さっきから、ドキドキはしっぱなしなんですけど


ドキドキは最高潮です



私の下の名前が出てくるなんて


先輩の口から出てくるなんて



「俺と付き合え」



有無を言わせない言葉でした

でも、嫌じゃなかった



私の返事は、言うまでもないですね



こうして、私は吉野先輩の彼女になりました



彼女にならせて、いただきました



香山菜月 


今、世界で一番しあわせものです

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