第23話

しばらく


呆然として動けない私でした



頭の中は思いっきり混乱してました





えっと


『好きなんだよな?』



って言われて



どきってして



『俺のことが』



って言われて




で、私、脈なしだって思って


『糸井君と付き合います』


とか宣言して・・・・



『糸井が好きなのか?』


って言われて



『分かってるなら、聞かないでください』



なんてことを言って





『分かってるなら、聞かねーよ』




って言われて





で、今この状況なんだよね





「頭の中、整理できたか?」



整理はできたけど

先輩の腕の中だということで

どきどきしてしまって

言葉が出ません



こんな近くなんて

近くとかじゃなくて

先輩の腕の中なんて



憧れの先輩でした

憧れの人が


私を抱きしめている



そう思うだけで

胸がいっぱい



「香山、聞いてるか?」


何も返答しない私に

先輩が尋ねてきます

抱きしめていた腕を緩めて


私の顔をじっと見つめてきました



こんな至近距離で

私を



もう、頭がかーっとなってしまい

言葉になりません



とりあえず

頷くのが精いっぱい



「もう一回聞くけど・・・」



そう言って先輩は一息つきました



「お前、俺が好きなんだろ?」




先輩のこの言葉で

私は、やっと先輩の言わんとしていたことが分かりました



『好きなら、好きだって言えよ』



前に言ったことは、このことを指していたんだと



迷う必要はありませんよね


もう好きだってばれているなら



素直に伝えました


「はい・・・好きです」



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