第21話

「気づいてたなら止めに入ってくださいよ、前みたいに嘘でもいいから『彼氏だから』って」


私は、苦笑いしながら

そう言いました


「嘘でもいいんだ」


「え?」


なぜか念を押すような感じで呟く先輩の言葉に、反応してしまいました



「前に香山に言ったよな」



先輩が言ってくれた言葉なんて

正直言って、どの言葉のことを指しているのか

分からなかったけれど


全部覚えているのは事実だったから


「はい」


と私は返事をしました





そのあと少し間がありました


少し・・・


いえ、かなりだったと思います


私にとっては




「好きなんだろ?」



反射的に先輩の顔を見ました






「俺のことが」

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