第71話

「え…?」


ソファに頭を預けて、李人さんが言葉を紡ぐ。


「他の人を好きになって、結婚したのに、まだ愛美のこと呼び捨てだろ?もうそこから沸点が下がった」


つーん、と言う音が聞こえてきそうな顔。


あ、本当に嫉妬してたんだ、と思う。


そう言えばホテルであきちゃんに出会った最初から様子が変だった。


あれは嫉妬だったんだ。


「ふふ…」


「え?」


「李人さんも嫉妬するんですね」


「そりゃするでしょ。俺の彼女なのに」


俺の彼女、という言葉にドキリとする。


「わ、私は藍美とあきちゃんの話をしました」


「そうなの?」


「あきちゃんが好きだったことを隠さず伝えられました。今はもうスッキリと言うか。藍美の惚気も受け止められました。李人さんのおかげですね」


「愛美…」


こんな日が来るなんて。

何度も言うけど、やっぱ李人さんのおかげだ。


「李人さん、ありがとう…」

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