第66話
「話さないとわからないね」
「え?」
「私は、藍美が羨ましかった。何でもできるし、明るくて、あきちゃんともいられて」
「愛美…」
「藍美なんて、私のこと眼中にないと思ってた」
「そんなこと!」
バッと藍美が枕を投げた。
「妹のこと、そんなふうに思わない」
「藍美…」
「好きな人が被って、それでも諦めきれなかった。けど、愛美を傷つけて、一生愛美のお姉ちゃんにはなれないって思ってた」
「…そんなわけないじゃん」
言葉にしないと伝わらない。
「藍美は、ずっと私のお姉ちゃんでしょ?」
「愛美…」
「泣かないでよ」
何でもできると思っていた姉への嫉妬が、すうっと消えた。
「ごめんね、ありがとう…」
「同じ人を好きになるとか、仲良いよね」
冗談ぽく言ったのに、藍美はさらに泣いた。
夜は長くなりそうだ…
そう思った。
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