第56話
集合写真ということで、プロのカメラマンが場所や位置を指示する。
私の言葉を聞いて幸せそうに微笑んだ藍美はまたあきちゃんのところへ戻っていった。
最初にあった、ざらりとした感情はいつしか消えていた。
「愛美」
「あ…」
思いがけず隣に李人さんがいた。
「李人さん…」
「え、まだ敬語?」
「いやだから、呼び捨てはハードルが高いんです…。」
「まあいいけど。藍美は何て?」
「え?」
何で知っているのだろう。
「…他の人に抱きしめられてる彼女見たら嫉妬するって」
「でも、藍美はお姉ちゃんだよ?」
「そうだけど…」
ムスッとした子供みたいな顔をする李人さん。
本当にこの人はくるくる表情が変わるもんだ。
「内緒です」
まっすぐ彼の目を見てそう言った。
「そっか。愛美がそう言うなら聞かない」
「うん…」
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