第57話

結婚式で、花嫁に謝らせてしまった。


だから、この後悔はずっと私の胸にしまっておこう。


もう少し前に、藍美と話していたら良かったのかもしれない。


けれど、きっと今、藍美の言葉を受け取れたのはこの人に出会ったからだろう。


カメラマンが合図をした、みんながカメラマンの方を向く。


私と李人さんもカメラマンの方を向いた。


「李人さん」


「ん?」


「改めて、よろしくお願いします」


「ん…」


小声で言った声が、ちゃんと届いたかはわからない。


けれど、誰にも気付かれないように、


右隣にいた彼が、私の左の小指に自分の小指を絡めてきたのが分かった。


ー約束するよー


聞こえていないのに、そう李人さんが言ったような気がした。

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