第33話

傷ついた顔。


さっきまでの儚げな彼とは違う。


怒り、悲しみ、いろんな感情をはらんだ顔。


「違う…」


「…!」


「俺は、愛美に会いたかった。同じ高校なのに、どうして2人に向けてそんな顔をするのか、何も知らなくて」


さっきより、距離が近い気がする。


2人とも横を向いているからだろうか?


「何も知らないから、知りたくなった」


「私の、ことを…?」


「うん」


「本当に…?」


「うん」


彼の顔に、少し笑みが戻った。

少し困ったような笑顔だ。


「愛美のことが、知りたい。俺は、愛美が好き…愛美と恋がしたい」


彼の左手が私の頬に触れようとするのがわかった。

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