「ふぅ…」

そう言って家族席に戻る。

お色直し後の写真撮影が行われている中、1人シャンパンに手をつけた。

誰かが褒めてくれるわけもなく…

ただ1人、ピアノの近くにいたスタッフさんが「お上手でした」とだけ言った。

社交辞令でも、ありがたかった。

「それではこれから、新郎新婦の歩みについてのムービーを流させていただきます！」

おぉー！とまた歓声が上がる。

これから、藍美と、あきちゃんの軌跡を見るらしい。

何の拷問だろうか？

いつもならそれほど酔わないはずなのに、シャンパンの一口が回った。

母に謝り、外に出してもらうことにした。

「こんなおめでたい時に…」

ピアノのことは何も言わないくせに、お小言だけはしっかりと受け取る羽目になった。

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