第11話

曲は最後の小説に入る。


ピアノの終わりと姉たちの礼が重なり、拍手が巻き起こった。


今までで1番綺麗に弾けたような気がする。


それでも、だれからも賞賛の声はない。


カメラも、参列者の瞳も、藍美とあきちゃんに向いている。


ポタポタと何かが鍵盤に落ちた。


室内で雨が降るわけはない。


【姉の結婚を泣いて喜ぶ妹】


鍵盤を見て俯く私は、誰かの目に留まっても、きっとそういうふうにしか見えないのだろうと思った。


さよなら、大好きだった人。


けれど、すぐには諦められない。


ーまだ…


まだ、あきちゃんが好き。


好きなんです。

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