第72話

「めが、ね?」


「ごめんなさい!眼鏡が…」


そう言われてもひどい近視で見えない。


そもそもこの子は誰なのだろう。


「あの…」


目の前の子が立ち上がり、俺の目の前に手を差し出したのは分かった。


「ごめんなさい!眼鏡、落ちた時に割れたみたいで…!本当にごめんなさい」


「あ、割れたんだ…」


日常生活に支障は出るが、文化祭の準備を抜け出す口実になったかもしれない。


「本当に、ごめんなさい…怒ってます…ね?」


「え、いや別に」


「だって、目が…」


「あぁ、ごめん。目が悪くて見えないと細くなってしまって。悪気はないんだ」

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