第69話

「それでは、後夜祭スタートです!」


暗くなった校庭では、花火が始まる。


自主参加の後夜祭だが、ほぼ全ての生徒がそこに集まっていた。


生徒会主体で行われ、校庭の中心では学生ができる花火の数々を打ち上げていた。


花火大会には全然敵わないのに、みんなの顔がキラキラしている。


2組のメンバーも、もらった沢山の花火を抱え、思い思いの人と花火を楽しんでいる。


「青春してるなぁ…」


私はただ1人、後片付けもしていない教室で校庭を眺めていた。


ー里奈は…。


好きな人ってサッカー部のキャプテンくんか。


花が綻ぶような可愛い笑顔。


あの雰囲気だと付き合うことになったんだろうな。


ー良かったね、里奈。


窓から吹く風が涼しくなる。


夏の始まりなのに、それは終わりを感じさせるような涼しさだった。


「楓…」


ハッとして後ろを振り返る。


ドア近くには、玲唯がいた。

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