第68話

「3組!」


「え…!」


委員長が声を上げる。

私のあげたリボンを揺らして。


「そして、優勝は、3年2組!!」


歓声がどっと巻き起こる。


クラスのみんなが喜び、泣いている子もいる。


ー優勝?


ほんとに…?


「楓!!」


里奈が私に抱きついた。


「やったね!さいっこうの夏だったね!!」


「う、うん!!!」


3組の方を見ると、泣きながらも拍手してくれる人が何人かいた。


「れ…」


玲唯の方を見る。

男子達と馬鹿みたいに喜んでいた。


けれど一瞬、その視線の先が少しだけ3組に向いたのがわかった。


その頬を少しだけ赤く染めて。


ー頑張れよ。


きっと、どう誘うとか色々考えているんだろう。


もう玲唯の方は見ない。


壇上に上がって賞状をもらう委員長の方を見た。


ーこれで私の青春も終わり。


心の中で何かの決着がついた。

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