第63話
ーまずいまずいまずい!
今の聞いてたなんてバレたら…。
「り、里奈どうしてここに?まだいたの?」
「いや、あんまり今日手伝えなかったから、なくなりそうなもの買ってきたの」
「そ、そうなんだ」
「それよりもさ」
里奈が2人に鋭い目を向ける。
いつのまにか玲唯も詩織ちゃんもドアの近くにきていた。
「詩織ちゃん、彼氏はどうしたの?別な男といるの彼氏に見られたらやばくない?」
里奈が容赦なく尋ねる。
私はそんな里奈を横目で見ることしかできない。
「わ、わかってるんだけど…喧嘩しちゃって…」
「ふーん。でも玲唯くんに話す必要なくない?自分で解決しないとだめじゃん?」
「おい待てよ。何も知らないくせに…!」
玲唯が詩織ちゃんを庇う。
それだけで胃のあたりが痛い。
「玲唯!いいの!ごめんなさい…そうだよね、ちゃんと解決しないとだよね。わかってるの。でも1人で泣いていたら玲唯くんがきてくれて…」
「帰ろうとしたら泣いてる詩織に会ったんだ。放っておけるわけないだろ?」
「ふーん、そう」
里奈がまだ疑いの目を向ける。
でも私はこれ以上聞いていることができなかった。
「里奈、帰ろう。もう遅いし」
「え!?でも、楓…!」
「もう遅いし、帰ろう」
2人の方は見ない。
「楓…?」
玲唯が呼んだ気がするけど、空耳だ。
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