第50話

休憩時間より少し早く玲唯が教室に戻ってきたら。


「なんで…まだシフトの時間まで30分あるよ」


「どこの階行ってもタピオカの話してる奴らばっかなんだよ。様子見に来たらまた倒れそうになってる楓がいたってわけ」


含みのある言い方をされ、少しムッとする。


「ちゃんと水分とって休めよ。タピオカ売ってるのに脱水症状とか笑えるから」


そう言って玲唯は、いつものリストバンドをはめ、接客に向かった。


何人かの黄色い歓声が上がる。


さすがバスケ部エースだ。


というか…


ー今日バスケ部で行動するんだったよね?


『詩織とさ、2人の時間とれそうなんだよ』


文化祭前日にまた私の部屋にきて、にこにこ言っていたのを思い出す。


その時もまたそっけない態度をとってしまったけど。


ー詩織ちゃんと一緒だったんじゃないの?


詩織ちゃんではなく、私の方…じゃなくて、

クラスの方を優先した玲唯に驚いた。


しかも、私に飲み物まだ買って…。


やだな。

期待しちゃうじゃん。


そうじゃないとわかっているのに。


玲唯がくれたスポドリで喉を潤す。


冷たい飲み物で私の体力は戻り、また調理に勤しんだ。

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