第46話

「…はよ」


「玲唯…」


次の日、家の前には玲唯がいた。


一昨日、

うるさい!

と叫んで終わってしまったので、気まずさを感じる。


やっぱり謝らなきゃ。


「れ…」


「熱。」


「え?」


「熱、大丈夫なのかよ」


「あ、うん…わっ」


せっかくセットした髪をくしゃくしゃされる。


「玲唯、手重いよ…」


謝りたかったのに文句を言ってしまう。


玲唯の手を振り払おうとした。


その目線の先には。


玲唯の、安堵したような、泣きそうな顔があり、


初めて見るその顔に心臓が揺れ動くのがわかった。


「よかった…マジで」


「…ぁ…ぅん…」


リアクションに困る。

そんな優しい顔されたら。


調子が狂ってしまう。


「行こうぜ」


何事もなかったように手をおろし、玲唯が先を歩く。


少し、目が赤いのはなぜだろう?


そう思いながら、玲唯の後に続いた。

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