第32話

Tシャツに中学の頃の短パン。


可愛い部屋着で迎えるのは、もう手遅れで。


いつもの格好でいつも通り窓からやってくる玲唯を部屋に迎えた。


玲唯は黒いTシャツに使わない青のバスパン。

今からバスケに行くような格好。


「足そんな出してると風邪引くぞ」


「窓から侵入してくる人に言われたくない」


よいせ、っと玲唯がカーペットの上に腰掛ける。


私はというと、ベッドに座って玲唯の方を見た。


もう何度目のこの光景だろうか?


恋を自覚する前は、もっと楽しそうに話していた気がする。

玲唯が来るのが楽しみで、もっとワクワクしていて。


お互いの親も公認で。


でももうあの時の笑い方は覚えていない。


「何しにきたの?」


スマホをいじって興味がないふりをする。


「えと…さ」


玲唯にしては歯切れが悪い。


「詩織のこと…相談?したくて」


スマホをいじる手が止まった。


同時に、血の気が引いていくような、そんな感覚がした。

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