楽しそうな会話が聞こえる。

中身は聞こえなくても、2人の声のトーンでわかる。

「おっす！今日も暑いね、お二人さん」

「は？からかってんじゃねーよ」

後ろを振り返る。

玲唯がからかってくる友達に頬を染めて反論していた。

詩織ちゃんもまんざらではない顔。

ギリッとまた歯を食いしばった。

心臓が痛い。

誰かに掴まれているような気がする。

ー玲唯のばか。

バカ。

馬鹿。

そう思いながら校舎の中へ入った。

身体は校舎の中にあるのに、心は玲唯の近くに置きっぱなしのままに。

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