第12話

「楓ー!おはよー」


「おはよ…」


窓側の席の私は、机にスクールバックを置いた。


親友の里奈りなが元気に話しかけてくる。


里奈とは3年間同じクラス。

茶色いロングの髪は地毛だが、いつも綺麗に整えらており、薄いスクールメイクも似合っている。


美人で人気もある子だ。


「今日も玲唯くんと出勤ですか〜?」


「そんなんじゃない…」


里奈と顔を合わせず、席に座る。


教科書やノート、資料集などをガサガサとバッグから出した。


「あーそゆことね」


窓の外を見る里奈。


何かを納得したように私の前の席に座り、ぐるりと私の方を見てきた。


「相変わらず詩織ちゃんにゾッコンだねー玲唯くんは」


動きが止まる。


そんなこと、分かっている。


「でもさ、あいつも大変な恋をするよね〜。詩織ちゃん彼氏いるんだから。さっさと諦めて、あいつのこと一番に思ってる人に気付けばいいのに」


「…そんな漫画みたいなこと、ないよ」


「でも玲唯くんの恋は叶わないでしょ?まあ、それも分かってやってるなら、詩織ちゃんも魔性の女すぎるけど」


「…」


「後悔しないようにしなよ。【幼馴染】の特権がいつまで使えるのかわかんないんだし」


「わかってるって…」


詩織ちゃんが、嫌いな理由。


それは、私の居場所だった玲唯の隣をいつも簡単に奪ってしまうから。


そして、里奈が言うように。


彼女には彼氏がいるのに、それなのに、玲唯の心を奪ってしまったからーだった。

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