第7話

「あの子だれ?」


「れいくんだって!バスケ部?」


「やば、かっこよくない?」


クラスが分かれた玲唯の噂を、入学してすぐに耳にするようになった。


玲唯は何も考えず私に教科書を借りにくることもあり、視線が私に集中する期間もあった。


「何あの子?彼女?」


「え?可愛くなくないw」


「なんか幼馴染らしいよ」


『玲唯の幼馴染』


学校中にそれが広まった頃、私はすでに噂の中から外れていた。


幼馴染だから安心。


幼馴染だから大丈夫。


女子の間でそんな噂が囁かれるようになった。


ーいつか玲唯に彼女ができる。


そう思って毎日を過ごしてきた。


ずっと、


ずっと前から。


誰よりも玲唯のことが好きなのに。


その気持ちに蓋をして、玲唯の幼馴染という役割を徹底的にこなしてきた。

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