第5話

「お姉ちゃんと玲唯くんて付き合ってるの?」


「ゴホ。」


スープが喉に引っかかる。


お母さん、お父さん、妹、私で朝ごはんを囲んでいると、唐突に紅羽が言った。


「あらーそうなの?玲唯くんなら安心だわ」


「そうなのか?楓?まだ早くないか?なぁ」


おっとりとした母と対照的な父。


全く、いつの年代の人も恋バナが好きなのだなと思う。


ってか。


「付き合ってないし」


「やった!まだチャンスある!」


「えー、玲唯くんが息子なら嬉しいのに…」


「母さん。高校生にお付き合いなんてまだ早いだろ。というか紅羽、小学生だろお前は」


「関係ないもん。玲唯くんかっこいいし」


それぞれがそれぞれの価値観で話を進める。


「はぁ…」


長年一緒にいても、玲唯とは付き合ってない。


というか、付き合えない。


コーヒーにミルクを入れ、一気に喉に通した。


「行ってきます…」


そう言ってわいわいと騒ぐ家族の中から出た。

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