第4話

「お姉ちゃん、玲唯くんきてたのー?」


小学6年生になる妹の紅羽くれはが階段越しに聞いてくる。


「そう!もう、あいつ…」


「いいなー今度はくれはの部屋に来たくれないかなー」


このませた妹はどうやら玲唯のことが好きらしい、と最近知った。


妹に言わせると、玲唯がカッコ良すぎて6年生男子が子供に見えるらしい。


最近の子はませている。


「お姉ちゃん、くれはの部屋と交換しようよー」


「やだよ面倒くさい」


「ぶー」


むすっとむくれた妹が階段を降りていく。


どうやら母親に文句を言いにいくようだ。


私はというと急いで洗面台に立ち、ストレートアイロンを通し、軽いスクールメイクをすませた。


そこまで校則が厳しい学校ではないが、派手だと思われるのは嫌。


色々ヘアアレンジもしてみたいが、下手でできない。


黒髪の肩より長い髪を綺麗に伸ばし、少し目をぱっちりさせるのが私のオシャレの限界だった。


「はぁ…」


もう少し器用だったら、と思う。


そしたら自分のことがもう少し好きになれたかもしれないのに。


奥二重の瞳や、それほど白くない肌に目を向けてため息をついた。


「楓、そろそろ朝ごはん食べないと遅れるわよ」


「やば…!」


お母さんの声に呼ばれ、急いでリビングへ向かった。

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