第3話

「何だよ起こしにきただけだろ…」


玲唯の左頬に思いっきりビンタをくらわせた。


そんな玲唯は手で頬をおさえ、むすっとしている。


「あんたいい加減ベランダ越えてくるのやめなさいよ!何歳よ!」


「えー…親同士も知ってるし…」


「大体…!」


大体、高校生にもなって…すっぴんをさらして…ってか!パジャマ姿見られるとか!


「ほんっと無理!」


「いって!」


バンっと枕を投げた。


「着替えるから出てって!」


「へいへい」


そう言って玲唯はベランダを飛び越えて自分の家に戻っていった。


窓近くに落ちた枕をとる。


ー人の気も知らないで…。


心臓がうるさいほど鳴る。


いつもなら当たり前だったこの光景が、いつからか心臓をざわつかせるものに変わった。


「玲唯のばか…」


そう言って制服に手を伸ばした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る