第6話

早く帰りたい、そう思った時だった。

「キミ、珍しいね。こんな不良校で真面目そうな格好しでるなんて」

頭上から、知らない声が聞こえた。

つか、真面目そうな格好って言った?

私の今の格好は、制服を基準通りにきてるだけの当たり前の格好。

そりゃ、周りの奴ら見ればまともだけど、

そこまででもないと思うんだけどな。

「…悪い? 行きたい高校選んだだけ。

見た目なんて、どうだって良いじゃん?」

相手が誰かも分からないまま、そう答えた。

すると相手は、クスクスと笑いだした。

私が訝しげに見つめると、相手は「ごめんね」と言った。

「確かにそうだね、俺が悪かったでも、びっくりしたんだ。俺一応黒雷の幹部だから、そんな口聞かれると思ってなくて。もしかして、知らなかった?」

そこで私は初めて相手の顔を見た。

そこには、綺麗な藍色の髪をした整端な男がにこりと笑って立っていた。

「あ、やっとこっち見た」

男はそう呟く。

黒雷の幹部……。

黒雷は確か、この学校がある地区に牛耳る暴走族のことだ。

正直どうでも良いんだけど…。

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