第65話

「支えてくれてありがとう。けど、もう、大丈夫だから…」


ー私は、プリンセスなんかじゃない。


ふいに桜と翔太の2人の笑い合う姿が浮かんだ。


あれこそ、シンデレラの生まれ変わりのような2人だ。


「莉音さん…」


そっと手を取られる。


「俺は、覚えています。貴方の手の温もりを。手袋越しでしたけどね」


「私は…違う。シンデレラなんて、おとぎ話だわ」


「そうかもしれません。けれど、俺は、ちゃんと覚えているんです。貴方と出会って、そしてずっと探していたことを」


「似ていないじゃない。彼女は、美人で、心が美しくて…」


桜と翔太に嫉妬する醜い私なんて、似ても似つかない。


「莉音さんはわかりやすいですね」


フッと笑われた。

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