第39話
「これはこれは王子様、お待ちしておりましたわ」
しらじらしい礼。
娘たちを紹介してきた時からこの人は好かなかった。
「どうも。ガラスの靴のことは知っていますね」
「ええ、もちろん。間違いなく娘たちのどちらかのものですわね」
「ママーーー!!!」
白塗りで化粧もひどい2人の女性がやってきた。
「あらぁ、王子様。私を迎えにきたのねー」
「違うわよ、私よ!」
「私!」
眩暈がする。
こんな、礼がなっていない女性ではなかった。
「おやめ!」
トレメイン夫人の声が響いた。
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