第36話

「帰らなきゃ…!」


「えっ…まって!」


彼女はドレスを掴んでダッシュをした。


わけがわからない。


俺たちの関係はこれからだと思っていた。


それなのに。


彼女は一目散に俺の元から離れていく。


彼女は俺に目もくれず走り続けた。


「衛兵!!彼女を逃すな!」


一足遅かった。


彼女を待っていた馬車はものすごい勢いで走り出し、衛兵が追いつくことはなかった。


「くそ…騎馬兵たち!」


すぐに他の兵を動かした。


けれど、もう、間に合わなかった。

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