第77話

「恭には悪いが、こればっかりは俺でもどうにも出来ない。

 だから覚悟しておくんだな、近い未来凌駕達と再会するすることを」

「うん……」

覚悟、か。

「…大丈夫か?」

「大丈夫、俺が決めたことだから。

 斎達に何の相談もなしに決めたことだ。その代償くらい払わないと」

俺が笑って見せると、レンくんも釣られて笑ってくれた。

「…まぁ、それだけだ」

「え、それだけなの?その為にわざわざ忙しい身なのに来てくれたの?」

席を立つレンくんを慌てて追う。

「お前のことを気にするのは雫のお気に入りだからだ。

 俺とお前は元々関わることがなかったんだ。この巡りは雫が齎したものだ」

「しぃくんが大切にするものは自分も大切にするってこと?

 そりゃ嬉しいことだね、あの須崎 紅蓮様が気に掛けてくれるなんて」

からかうように俺が言うと、レンくんは笑って俺の頭を撫でる。

「調子に乗るのも程々にしておけよ。

 俺は雫の為なら、お前の敵にだってなるぞ」

「分かってるよ、俺だってしぃくんに嫌われたら死んじゃうかもしれない」

「ちょっと、嫁の横で大層なこと言ってくれるじゃないの?」

「イチャつくのも後にしろと言ったが、痴話喧嘩も俺が帰ってからにしろ」

『は〜い』

レンくんと話しているとなんだか平気な気がしてきた。

やっぱりお兄ちゃん気質で世話焼きのレンくんだ。

こういうところもしぃくんがレンくんを

お気に入りと思っている理由なんだろうな、と思った。


「…きっと大丈夫だ、斎達ともう一度会うことも出来る筈だ」

俺がそう呟くと、霧亜は頷いて笑った。

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