第70話

「『柘榴』の対策はひとつだけだ。あいつらとの闘いはすべて勝つ。

 そして『ミユ』に関わることの情報の取引だ」

「俺の情報を利用する気?」

「あぁ、俺達が襲われるのとその女は無関係だろ。

 人に迷惑かけてるツケは払ってもらう」

斎の鋭い視線に、雫は視線を逸らす。

「それ、俺を囮にした方が上手くいきそうだな。

 暴れてもいいなら暴れるけど、今回はお前に従うよ」

「それは構わないが、やり過ぎるなよ」

「了解、リーダー。

 暇つぶし位にはなってくれる事を祈るさ」

「雫が言うと本当に怖いんだけど…」

「まぁ、こっちに風評被害来ないならマシなんじゃねぇの」

「うま〜く言い包めておくから心配ないよ…多分」

『多分ておい』

巡と俺の声が重なると、雄大が笑う。

後ろで隠れて斎も笑っていた。

不意に雫を見てみると、やっぱり彼は笑っていなかった。

思わず心の内を知りたくて、力を顕現させる。

普段は知り得ない、雫の心。

今なら、知れると思ったから。



『どうして…笑っているんだろう』



聞こえてきた心の声は、純粋な疑問だった。

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