第64話

◇◆◇◆◇◆


「恭、手紙が来てるわよ」

「え?俺宛?珍しいな。

 俺の住所知ってる奴なんてたかが知れてるんだけど…」

俺は手渡された手紙の送り主の名を視界に入れた。

「しぃくん?なんで…?」

「しぃくんって、松桃矢の御子息様?」

「そうそう…なんで今更連絡してきたんだろ…」

綺麗な便箋を丁寧に開いて、内容を見る。

内容は彼らしく端的で簡潔なものだった。

俺は内容を見て絶句した。



「嘘でしょ?なんで…。

 なんで、斎達の事知ってるんだよ…」


◇◆◇◆◇◆


美しい少女の写真。

彼女は写真を撮られる事が嫌いだったが、

どうしてもと俺が無理を言って撮らせてもらった。

「どこに行ったんだよ、お前…」

「おい、稜。呼ばれてるぞ」

「…あぁ、今行く」

立ち上がり、金髪の男を視界に入れる。


「聞け、お前ら。俺達は『ミユ』を取り戻す。

 そのために『翡翠』を倒す。行くぞ!!」

『オゥ!!』

まだ足りない。

俺の欲しいものは、必ず手に入れる。


◇◆◇◆◇◆


「馬鹿の一つ覚えで騒ぐなよ、アホ稜」

「まぁまぁ、それが彼ではありませんか」

「知ってるからだよ、アホがトップ立つなよって話…」

「人のこと言えないくせに、雫様は」

「うるさい、減給決定」

「無給でも良いですよ?」

「労基に引っ掛かるからやめてくれる?」

「はぁい」


◇◆◇◆◇◆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る