第51話

「でも丁度良かったな」

「何が」

「この子らのグループ『柘榴』の活動が最近活発化してきてる件について。

 それを今日話したかったんだ。上手く使えそうじゃない?この子」

そう僕が話すと理解した様に巡は早々に奥の部屋に引っ込んだ。

「雫?」

「……『柘榴』か」

「なにか気になることでもあったの?」

伸びている男に視線を落とし、呟く雫くん。

斎が声を掛けるけど反応はしなかった。

しばらくして、雫くんは何を思ったのか男の腹を右足で抉った。

「何してんだよ、雫」

「…別に、気に食わなかった」

「気に食わないで人の腹抉るなよ」

「コイツ加害者だけど?コイツの肩持つの、凌駕」

「怪我の程度で言えば加害者はお前の方だわアホ」

「それもそうか」

本当に気に食わなかったから腹を抉ったのか?

と思わず斎と視線を合わせる。

「…雫のことなんて考えても無駄だろ」

「…だねぇ」

「おい斎、雄大!女来て巡の機嫌が悪ぃ!早くしろ!!」

凌駕に呼ばれて僕は斎と歩き出す。

「女の子はつまみ出しといて」

「他の奴等も暫く奥の部屋入って来るなよ」

周りの連中に声を掛けつつ、会議室へ向かった。

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