第46話
俺と雄大は、元々ただの幼馴染だった。
ただの、というのは違うかも知れない。
腐れ縁で、仲の良い幼馴染。そういうどこにでも居る子供同士だった。
それが大きく変わったのは、両親の離婚からだった。
『お父さん達離婚することになったんだ』
『……そうなんだ』
俺は年齢にしては珍しく、既に『離婚』を知っている子供だった。
だからか、初めて言われたその言葉にも、あまり動揺しなかった。
仲の良い両親の様子なんて見たことがなかったし、当然だと思った。
『それで巡はお母さんについて行って欲しい』
『それは良いけど…理由でもある?』
『お母さんは、離婚した後のことをもうちゃんと考えていてね。
しばらくは再婚できないが、期間が過ぎた後は再婚を直ぐするそうだ』
女性は離婚してから100日間は再婚することが出来ない。
母は、その期間が終了すれば直ぐにまた結婚する。
だからその方が生活が安定していて良いと思ったのだろう。
『…そっか、分かった』
『お前は本当に聞き分けの良い子供だな、巡。
不満があるのなら、口にしても良かったんだぞ?』
『言ってどうにかなるの?離婚やめてくれたりしないでしょ。
父さん達がそう考えて答えを出したなら俺はそれに従うに決まってる』
『ごめんな、巡。
もっと遊びに連れて行ってやれたら良かったんだが』
『ううん、別に大丈夫』
父は果てしなく優しい人だった。
両親の喧嘩を聞いていていつも思っていた。
悪いのは、優しい父に甘えては親の役割を果たせていなかった母だと。
でも、そんな母について行くのは自分なんだと思うと、
少し母の再婚相手との関係が悪くならない様にと考えた。
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