第40話

「アンタって…そんなに性格悪かったっけ」

「昔はお主に好かれたくて仕方がなくての、優しくしていたつもりじゃ。

 今はそんな小細工した方が嫌われると思ってな、やめたのじゃ」

「確かに、そういう奴は即刻排除するよ」

私が笑うと、須崎のは溜め息を吐く。

「お主も可愛くないの」

「俺が可愛い時ってあった?」

「レンと共に居た時期は、とても可愛らしい年相応の子供じゃったよ」

「…それが言いたかったわけ?」

無表情でギロリと睨まれる。

その睨みさえ美しく見えるのは、見た目のせいか、

それとも私が須崎のを美しいと思い込んでいるからか。

「そうかも知れないの、岬の坊がお主の前に現れたのは、

 それを自覚させよという啓示ではないのかと思ってな?」

「あっそ…帰って良い?」

「構わんよ、愛流が生徒会室に向かっているだろうしの」

「迎え来たタイミングで呼んだのもわざとってことか」

雫はブレザーのポケットからUSBを取り出す。

それを柳の方に投げ捨て、私に背中を向ける。

「帰る」

「うむ、今後も私の娯楽に付き合っておくれ」

「気が向けばね」

柳に投げられたUSBは私が以前から頼んでいたある高校の情報のデータ。

『綾瀬』という名の、私が通っていた母校だ。

始めに頼んだのは須崎のの父だったのだが、

情報収集は須崎のが行っていた様だ。

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