第39話

◇◆◇◆◇◆


「ときに須崎の。彼奴等をどう思っておる」

「…どう?」

「そうじゃ。人間嫌いのお主にとって彼奴等はどの様に見える。

 特に岬の坊は、基より近しい存在であるだろう」

濁ったホワイトベージュの瞳は私から視線をずらさない。

「…凌駕は、アイツと似てる」

「まぁ、そうじゃろうな」

「でも、アイツとは全く違う」

「うむ。岬の坊は純真無垢な瞳をしておる。

 お主等の家では珍しい奴じゃろうて。私も常々思う」

岬の坊にはある秘密が隠されておる。

それを知るのも恐らく限られた人間のみだろう。

「アレは、嫌いじゃない。でも、好きじゃない」

「須崎のにしては珍しいの、そこまで悩むことかえ?

 お主は何事にも芯を曲げず、思いのままにすべてを決めたじゃろう?」

「…そういう顔に見える?」

「少なくとも柳の様な他人には分からんじゃろう。のう、柳?」

後ろに控える柳に視線をよこすと彼は笑った。

「そうですね。私からすれば、

 須崎様の無表情が変わっていない様に見えます」

「昔からの勘とも言えるの。

 私や愛流程近しい相手しか分からん」

ニコリと笑うと、須崎のは僅かに瞳が揺れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る