第36話

「翌々考えたらさ、雫くんて全部好成績だったね」

「…そうだっけ?」

雄大の言葉に、本人は首を傾げる。

「参加した競技全部1位総なめだったじゃん。

 女子からの煩い歓声聞いてなかった訳?流石雫だね」

走り高跳びにクラス対抗リレー、騎馬戦、借り物競争と結構な種類を

参加させられていた雫だったが、殆ど高順位を叩き出し、

クラスに貢献していた。

その結果かどうかは分からないが、雫のクラスが優勝だった。

当人は打ち上げにすら参加する気もなく、迎えを待っているらしいが。

「打ち上げ良かったのか?凌駕は嬉々として向かったが」

「不特定多数と食事を取りたくないから断固拒否」

「雫って今までどうやって生きてたの?

 手段行動ばっかする日本では普通の日常過ごすだけで苦痛じゃん」

「あー…そういうの考えたことなかった。

 煩わしいものは全部振り払ってきたし、それをするだけの権力もあった」

相変わらずの表情で言う雫に、寧ろ違和感を感じた。


『生徒会副会長須崎雫。理事長がお呼びです、至急理事長室まで。

 但し他の生徒会役員は来ない絶対に来ない様に』


「…迎え今来たって連絡来たんだけど」

「『ダルい』よりその言葉が出てくるのが凄い」

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