第31話

「確かに始めは嫌だったけど、今では悪くないと思ってる」

「そんな奴がお前にも居て良かったな」

「もう居ないけどね」

「は?」

サラッと言われて、俺は一瞬思考が停止した。

「会えなくなったってだけの話。

 会いたいとも思わない、今後会う事もない」

「お前……」

「いま来た!」

「おかえり、凌駕。

 早速だけど俺の業務の補佐してくれる?」

「おー、何すんの?」

凌駕が来てこの話は有耶無耶になってしまった。

そのあと直ぐ雄大が巡を連れてきたので、そのまま業務が続けられた。


「…あ、凌駕」

休憩中にスマホを見た雫が、小さく凌駕を呼ぶ。

「なんだ?」

「体育祭の後の始めの月曜日、何が何でも空けといて」

「は?」

「決定事項、良いな?」

「あ、はい……」

「それだけだから、俺帰る」

風のように去っていく雫を誰も止められなかった。

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