Geheimnis

第25話

「…へぇ、面白いねお前」

「何が?」

「いや?そういや岬家の人間だっけ」

何が面白いだ、一切心の声は聞こえないし、表情も変わらない。

そんな人間居てたまるか。

「で、それを俺に言って何をしたかったの?」

「…俺の家の話だ」


俺が勝手に始めた話を、雫はしっかり聞いてくれるらしい。

「俺は親に捨てられてる」

「…あぁ、そういえばそんな話聞いたな」

『読心術』を知るということはこの家系の人間だということなので、

その言葉には反応せずに話を進めていく。

「捨てたくせに俺を引き戻そうとしてるらしいから、

 その理由が知りたいのと…」

「それ以外にもなにかあるのか?」

「…兄貴と会って話がしたい」

俺と違って、捨てられることがなかった4つ年上の兄貴。

俺を捨てたのは両親だが、俺を岬の家に送ったのは兄貴だと聞いた。

何故親族である岬家に俺を送ったのかが、知りたかった。

「それ、知りたいの?」

「え?」

「お前が思っているよりもお前の家系は複雑だ。

 知らなくて良いもの、知らない方が良かったものが必ず出てくる」

まるで既にそれを知っている様に話す雫の言葉には、何故か説得力があった。

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