第24話

今日、遅刻ギリギリにやって来た雫は体調が悪そうだった。

それが読心術によるものであると分かるのは俺だけ。

俺は北校舎に居る雫の後を追った。

雫は前に女と居た教室の窓側に座っていた。

窓を開けているらしく、吹き込んでくる風が彼の前髪を揺らす。

太陽の光を受けて色素の薄い雫の髪は色を失くした様に見えた。


「なぁ、お前に聞きたい事がある」

「答えられることなら答えるけど、何?」

男から見ても綺麗だと言えるホワイトベージュの瞳がこちらに向く。

「お前、『読心術』のこと知ってるだろ」

数秒の静寂の後、雫は目を閉じる。

「岬 凌駕。

 その情報を開示することが何を意味するのか、知ってる?」

「知ってる。俺は今自分でお前に伝えるべきだと思って言った。

 ただの直感だけどな。俺はそういうのよく当たるんだ」

俺が笑ってそう言うと、雫は俺をじっと見つめてきた。

社会一般的に見て美青年の部類に入る雫に見られると、

どうしてか恥ずかしくなってくる。

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