第23話

それからすぐ、父さんが帰ってきた。

『凌駕くん、今から大事な話をするからちゃんと聞いて』

『え、うん……』

『まずね、君は俺達の本当の子供じゃないんだ』

その日はずっと、驚いていた気がする。

親だと思っていた人が親ではなかったこと。

本当の両親は母さんの兄夫婦で自分を捨てたこと。

今更俺を返せと言っていること。

俺を捨てた理由が、自分達の家系に代々伝えられている

『読心術』の素質がないからだということ。

読心術は無闇に人に言ってはいけない秘術だということ。

『俺達は凌駕くんを手放す気はないよ。

 君は俺達の子供なんだから』

『……うん』


それから俺は、読心術のことを学んで扱える様になった。

読心術を持つ家系の中では能力が高い俺は、

初めて会う相手は取り敢えずで心を読む様にしていた。

信用出来る相手はそうやって選ぶ。

だから俺は雫にもそうした。

……でも、読めなかった。

読めない奴もたまに居ることは知っていた。

けど、読ませない様に隠すのはまた違う。

雫に感じたあれは、隠している感触だった。

アイツは、俺達の家系の『読心術』を知っている。

それは俺にとって青天の霹靂だった。

俺の近くには同じく読心術を使える奴なんて居ないし、

それの存在自体を知っている奴も居ない。

俺の悩みを話せるのはきっとアイツだけだ。

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