第22話

――北校舎――


◇◆◇◆◇◆


「こんなとこ行ってたのかよ、雫」

「…なんだ、探してたの?」

声色は僅かに驚いた様な声に聞こえた。

驚いてなんて居ないくせに。

初めて会ったときから、少し違和感があった。

どうして違和感を感じたのか、それを聞かれると答えづらい。

きっと誰にも分からないからだ。


俺には、ひとの心の声が聞こえる。



初めてそれが聞こえたのはいつだったろうか。

両親とテレビでも見ていた小学生の頃だった気がする。

母さんは、スマホで誰かと連絡を取っていた。

『義姉さん、今更凌駕くんを返せってどういう事かしら?』

その声に、俺は思わず母さんを見た。

『どうしたの、凌雅くん』

『母さん、いまなにか言った?』

『……え?もしかして、私の声が聞こえたの?』

『うん…それがどうかした?』

『…もしかしてそれのせい?義姉さんがあんなこと言ったの』

母さんが言っていることは分からなかったけど、

何かがおかしいことは分かった。

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