第18話

「あ、それはね、前の奴が初日からずっと置いてたやつなんだ。

 気になるかな。気になるなら捨ててね」

「不思議だよね、これってアイツ写ってないんでしょ?

 なんでわざわざ置いてんだか…」

「だね。僕としては写ってる男の子も女の子も容姿端麗で目の保養だけど」

俺は藤代雄大と岬凌駕の声を聞き流しながら、それに触れた。

黒髪の幼い男女の写真。

男の子の腕が女の子の首元に絡まっている。

距離感からして密接な関係性に見えるのに、どこかぎこちない。

女の子の表情は無いし、男の子の口元も引き攣っている。

そもそも女の子に至っては写真に興味がないのか視線も違う。

これは、俺も知っている。

幼い頃、突然と撮られた写真だ。

写真に映ることが嫌いで、カメラを向ける相手を睨んでいたのを覚えている。

それでも、どうしてか気に入ってた。

それはきっと、撮影したのが彼で共に写ったのがあの人だから。

やっぱり、俺はこの部屋の前の主を知っている。

「…まぁ、良いよ別に。知らない人のものを勝手に捨てるのも

 なんか嫌だし、なにより面倒だ」

「お前が良いならそれでいいじゃね」

呉城斎の言葉に、俺はひとつ頷いた。

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