第17話

「ここは…?」

「前の副会長が使ってた副会長だけの部屋。

 ここには元々生徒会長と副会長には一人部屋があるんだ」

前の副会長…つまりは先日理事長が説明してくれた彼が以前使用していた場所か。

銀色とは彼らしい、と俺は内心嬉しくなった。

暫く彼とは会えていないが、今度顔を出そうと決めた。

「で、俺がここ使っていいの?」

「今後はお前の部屋になるんだから、当然だろ」

「斎の言う通り!雫くんが好きな様に使っていいよ。

 先代が残したものも、使っても良いし、捨てても良いから」

後ろから追いついてきた呉城斎と藤代雄大がそう答える。

「鍵は?」

「一応スペアで俺が持ってる」

投げて寄越された鍵を危なげなく受け取り、その部屋に足を踏み入れた。


「へぇ、アイツにしちゃちゃんと片付いてたんだな」

「それ凌駕が言う?生徒会室にある凌駕の部屋より綺麗じゃん」

「なんか、片付いてるけどものが多い感じだね」

「邪魔なら捨てれば済む話だろ。雫、どうだ?

 ここは防音とかちゃんとしてあるし、鍵だってこのスペアしかない。

 お前の好きなときに来れて、誰にも入って来られない場所になると思う」

その部屋は、黒と銀で統一された家具と多めの私物で出来ていた。

俺は呉城斎の言葉に返答することなく、あるものを見ていた。

「これ……」

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