第15話

「こんなもんでいい?」

「あ、うん。多分もう皆認めたでしょ」

「そっか、なら良いや」

掴んでいた男の胸倉を離した須崎はそのままセーターを脱ぐ。

「あ、また?」

「男の汗とか気持ち悪いじゃん」

「それ男の雫が言う?」

「じゃ、言い換える。

 他人の汗とか少しでも掛かりたくない」

「女なら分かるんだけどな」

「分かったら生きづらいから止めたほうが良いよ」

あっけらかんと言う須崎はいつも通り。

自分がその生きづらい環境で普通に生きているのを気にしていない。

「斎」

「…んだよ」

「アイツのこと、言っとけよ」

「…あぁ」



◇◆◇◆◇◆


「よく聞けお前ら。

 今この時をもって須崎雫はグループの副リーダーの権限を持つ。

 コイツに従え。コイツに何かしたら俺達幹部が黙っちゃいねぇぞ」

『はいっ!!』

呉城斎の宣誓に、大きな返事が返ってくる。

それを自分は反応もせずただ見ていた。

よくもまぁこんな単純な方法で認めてしまうなんて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る