第14話

俺達が突然連れてきたびっくりする程美しい容姿を持つ男が、

似合わない倉庫に姿を現したのだ。

「ここは『翡翠』の倉庫だよ。つまりは僕らはここの幹部ってこと」

『翡翠』

霜楓学園の生徒会メンバーが代々幹部を務めてきた不良グループ。

霜楓学園の連中は大体このグループに所属している。

「お前は副会長の権限が与えられた。それは同時にこのグループでの二番目の

 権限を得たと同義。だが、それをよく思わない奴らも出てくるだろう」

「つまり、納得させれば良いんでしょ?」

トン、と須崎は一歩後ろへ下がる。

「ほら掛かってきなよ、みんな纏めて相手してあげる」

彼の瞳は、相変わらず虚空を見ていた。



「わ〜……容赦ない」

「こわ、なにあれ」

「三角絞め綺麗に決まってたなさっき」

各々の感想が口から零れる中、俺は冷静に須崎の動きを見ていた。

「……アイツホントに頭良いんだな」

「あ?」

「アイツの動き全部計算されてる。

 自分がこう動けば相手はこう動く、そうなれば別の相手とぶつかる、とかな」

丁度、須崎が避けた拳が彼の背後に居た男に当たった。

彼はその様子を、身体を一回転させながら視界に収めていた。

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