第12話

巡と恐ろしい会話をしているが、

馴染んでいる証拠でもあるので見なかった事にしよう。

「女嫌いなら結構精神削るからオススメしない。

 次からは俺が牽制してあげるからしない方が良いよ」

「…いいの?」

「うん、それで女に嫌われるなら一石二鳥だし」

「ねぇ、雫って呼んでも良い?」

「良いよ、俺も巡って呼ぼうかな」

「…寧ろそう呼んで欲しい」

「そ、分かった」

打ち解けるのが些か早くないかと思いつつ、

交友関係の広くない巡の良き理解者が増えることは良いことだと良しとした。

「人好きじゃないって言う割に打ち解けるのが早いね、須崎くん」

「一々全面に出してたらこの先社会で生きてけないでしょ。

 滞り無く円滑に生きるのは得意分野だからね」

「あ〜、成程。人間関係にきっちり線引してるタイプなんだ。僕と同じだね」

「会話弾んでるトコ悪いが、移動するのにバイク乗るぞ」

俺が声を掛けると須崎は「あ、」と声を上げる。

「バイクとか移動手段ない感じ?」

「いや、停めてるトコが違うってだけ。

 取ってくるから住所だけ教えて、追うから」

「ん、西町の―――」

それから暫くして、先に目的地についた俺達は須崎を待った。

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