第10話
「女の子好きじゃないの?」
「ん〜……人間がまず好きじゃないよ。
俺あんまり人と合わないんだよね、昔から分かってたけど」
合わないのは少し分かってしまう。
あれ程普通に会話をしていたのに、人間が嫌いだとか。
5月の今に似合わないセーターを着込んでいる辺りが、普通じゃない。
「で、話ってなんだっけ」
「学校の案内とか、生徒会の仕事内容とかの説明だ」
「あぁ、要らないよそれ。全部大体覚えたし。
仕事内容ならその都度こうやれって簡潔に伝えてくれれば出来る」
全てが規格外のこの学園。
入試試験も大変だが、それ以上に編入試験の難易度は異常だと聞く。
ババァの話によればそれを時間を余して全問正解で回答してきた天才だと。
この広大な敷地の全てをたった1日で網羅するとは、流石に一言以外出ない。
「お前なんでこの学園来たんだ?」
「それ必要な質問?」
髪色と同じ瞳が俺を射抜く。
無表情で心情が読みにくく、変に緊張した。
「これからお前を知っていくには、必要だと思った」
「……あっそ」
須崎は僅かに瞳を揺らして俺の横を通り過ぎる。
教室を出ていくつもりだ。
「ただ、面白そうだなって思っただけだよ」
そう質問の答えを残して。
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