第9話

「それより良い訳?俺と違って授業でないといけないでしょ」

「い〜の!他の誰かに取られる前に遊んどきたいっていうかさ?」

「ふぅん、随分な素行不良だ」

「それくらい須崎くんが優良物件ってことなんだけど〜」

「そりゃどうも」

須崎は依然として無表情を貫いているが、女は機嫌が良さそうだ。

そんな態度の須崎に気づいていない。

「ね、だからさ?私と遊ばない?」

「他を当たって欲しいかな」

「えぇ、」

「それに約束があるんだよね俺。あそこの生徒会さん達と」

気づいていたのか、と俺は僅かに驚いた。

仕方なく俺が近づくと、女は離れた。

「ちぇ、じゃあ今度は遊んでよね」

「気が向いたらね」

ひらひらと右手を振る須崎に、女はニコリと笑って教室を出ていった。


「あの女と遊びたかったのなら、予定は明日に繰り下げる」

「いいよ、どうでも。俺あの子に興味ないし」

女がくっついていたであろうブレザーの場所をゴミでも払うかの様にはたく須崎。

「ホントに興味ないの?」

「ないね、これっぽっちも。

 ああいう女は生理的に受け付けないんだから」

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