Wunder

第6話

『と、いう訳でこの須崎雫は理事長である私が直々に選んだ男だ。

 不満があるからなどという理由で彼を害すれば私が黙っておらぬ。

 本人にも正当防衛も認めておる故、馬鹿な真似を起こすでない。以上だ』

翌日、突然開かれた全校集会にはその日来ていた生徒全員が強制参加。

ウチのババァが全体に須崎の紹介をして、終わった。

周囲の女共からは、須崎のことしか聞こえない。

『ねぇ、あの人格好良くない?』

『分かる!正直生徒会入りしても文句ないよね〜』

『彼女とか居るのかな?』

『昼休み須崎くんのとこ行こうよ!』


「…アイツ、平気なのか?」

「え、斎が心配してるの?珍しいね」

「雄大」

同じクラスの雄大は殆ど俺と行動をともにしている。

今も隣で俺の独り言を問い掛けられている様に拾い上げた。

「仕方ねぇだろ、ババァから変われって言われてアイツが選ばれたんだ。

 気にしねぇのは俺が嫌なんだよ」

「ふぅん、まぁ僕は構わないけどね」

「何か不満でもあるのかよ」

「不満じゃないけどさ、須崎くんって単純に斎のために選ばれた存在なのかな。

 彼にも何か、俺達と似たものがあるんじゃないかなって思うんだ」

『俺達と似たもの』

それが何を差しているかは直ぐに分かった。

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