第4話

「だそうだ。斎、返事を」

「そもそも急に選挙もなしに生徒会入りさせて反発もあるんじゃねぇのか」

「その様な事は起こらせぬ。こちらで万全な状態を与えよう。

 お主等も必要としておっただろう、次の『副会長』の座に座る者を」

『副会長』

その単語を出されて俺の表情は固まる。

副会長の座は半年以上空席になっていた。

その理由はその座に座っていた者が突然理由も知らせずに学園を退学したからだ。

今アイツがどこでどう暮らしているのかも分からない状況だ。

この学園に居る者で、アイツの後釜が務まる奴なんて存在しない。

そう全生徒が理解していた。

そのためここまで在籍生徒が存在していなかった。

「この須崎のは、使える男だ。それこそアイツ並にの。

 いつまでも『副会長』の席が空いているのも格好がつかん。

 以前から関わりのある須崎のをその座に私が据えたといえば納得するだろうて」

俺は暫くして、自分を納得させる様に頷いた。


―――――――――――――――――――――――――――


『何もアイツを忘れろと言っている訳ではない。

 だが、お前も少し前へ進め。お前が前へ進まんと藤代のらも進めんだろう』

「――っ、分かってんだよ」

「呉城斎」

思わず吐いた悪態の直後、俺の名を呼ぶ声がした。

「お前、確か須崎雫だったか」

「そう。ひとつ言いたい事がある」

「なんだよ……」

「先程の話を聞いていて思った。

 俺を無理して『副会長』として扱う必要はない。仕事だけ与えてくれ。以上だ」

須崎は無表情のままそう言い切ると、1人で一般教室のある方向へ進んでいった。

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